
肌襦袢とは、着物を身につける際に着用する和装用の下着(インナー)です。
汗や皮脂が着物へ直接触れるのを防ぎながら、快適な着心地を支える役割を担います。
和装では外から見えない部分の装いも着姿に影響するため、肌襦袢の役割や特徴を知っておくことは大切です。
本記事では、肌襦袢の基本的な役割をはじめ、素材や種類の違いのほか、着用の順序や長襦袢との違いなどをわかりやすく紹介します。
肌襦袢とは
肌襦袢とは、和装の際に最も内側に身につける下着の一種で、着物の下に着用する和装専用のインナーです。
洋服でいうアンダーウェアのような存在で、身体と着物が直接触れるのを防ぎます。
肌襦袢を身につけることで、汗や皮脂が着物へ付着するのを抑え、衣類を清潔な状態に保つことが可能です。
また、表から見えないように袖や衿の形が工夫されているという特徴もあります。
肌襦袢の役割
ここでは、肌襦袢にどのような役割があるのか解説します。
着物を汗や皮脂から守る
肌襦袢の役割のひとつは、汗や皮脂による汚れから着物を守ることです。
吸湿性に優れた素材で作られており、身体から出る水分や皮脂を先に受け止め、着物へ直接付着するのを防ぎます。
着物は洋服のように頻繁に洗えるものではなく、汚れをそのままにしておくとシミやカビの原因になることもあり注意が必要です。
そこで肌襦袢を間に着ることで、汚れが着物に届きにくくなり、大切な一着をよい状態で保ちやすくなります。
見えない部分ではありますが、和装を長く美しく楽しむために欠かせないアイテムです。
快適な着心地を支える
肌襦袢には、和装を心地よく楽しむための着心地を支える役割もあります。
裾除けと合わせて身につけることで衣服同士の滑りがよくなり、歩く、座るといった日常の動作がよりスムーズになるでしょう。
着物に慣れていない場合でも足運びが整いやすく、動きの負担をやわらげてくれるのが特徴です。
また、季節に応じて体感を整える働きもあります。
暑い時期には汗を吸収して衣服内の蒸れを抑え、寒い時期には内側に空気の層が生まれることで暖かさを保つことが可能です。
肌襦袢を着用することによって、着物姿でも一日を快適に過ごせるようになります。
肌襦袢の素材
ここでは、肌襦袢に使用される主な素材を紹介します。
綿を中心とした定番素材
肌襦袢に用いる生地として、特に多く選ばれているのが綿を中心とした素材です。
水分を吸い取りやすく、家庭で気軽に洗える扱いやすさから、日常的な和装の下着として広く親しまれています。
また、用途や季節に合わせて選びやすい点も、綿素材が定番とされる理由のひとつです。
綿素材の中にもいくつか種類があり、ガーゼはふんわりとしたやさしい肌触りで寒い時期にも心地よく、クレープ生地は通気性に優れているため暑い季節に適しています。
さらしは、程よい張りがあり季節を問わず使いやすいのが特徴です。
機能性素材の広がり
近年の肌襦袢には、快適性を高める機能を備えた素材も取り入れられるようになりました。
たとえば、汗をすばやく吸い取って乾きやすい吸湿速乾タイプや、気になるにおいを抑える消臭機能を備えた生地などがあります。
さらに、ひんやりとした着用感を得られる冷感素材や、湿気を取り込みながらあたたかさを生み出す吸湿発熱素材なども登場し、季節や着用シーンに合わせて選ぶことが可能です。
従来の素材に加えて機能性の高い生地が選択肢に加わり、和装時の体感を整える工夫が広がっています。
肌襦袢の種類
肌襦袢には、スリップタイプとセパレートタイプの2種類があります。
ここでは、それぞれの特徴を見ていきましょう。
スリップタイプ
スリップタイプの肌襦袢は、上下が一体になったワンピース型の和装下着で、一枚で身につけられる手軽さが特徴です。
上から羽織り、紐を結んで整えるだけで着用できるものが多く、複雑な手順が少ないため着付けに慣れていない方でも扱いやすいでしょう。
準備がしやすく、日常の着物やちょっとした外出などにも取り入れやすい形です。
商品によっては、上半身と下半身で異なる生地を組み合わせ、動きやすさや着心地に配慮したつくりのものも見られます。
シンプルに着られる点から、和装を気軽に楽しみたい人に選ばれることの多いタイプです。
セパレートタイプ
セパレートタイプの肌襦袢は、上半身用の肌着と下半身に着る裾除けが分かれている和装下着です。
上下を個別に調整できることで、衿元の抜き加減や全体のバランスを整えやすく、より美しい着姿を意識したい方にも向いています。
それぞれを組み合わせて身につけるため、体型や着心地に合わせて細かく整えることが可能です。
伝統的な形として長く親しまれてきたタイプで、着付けに慣れてくると使いやすさを感じる人も多いでしょう。
動きやすさや着心地を自分好みに整え、和装をより丁寧に楽しみたい方におすすめのタイプです。
肌襦袢の正しい着用手順
一般的には、まずショーツや和装ブラなどのインナーを身につけ、その後に下半身用の裾除けを着用します。
続いて肌襦袢を羽織り、紐などで形を整えるのが基本的な流れです。
セパレートタイプの場合は、着物と同じように前で左右を合わせ、腰紐で固定しながら衿元や全体のバランスを調整しましょう。
体に沿うように整えておくことで、その上に重ねる長襦袢や着物もきれいに収まりやすくなります。
一方、スリップタイプはボタンやファスナーで前を留める仕様のものが多く、和装に慣れていない方でも安心です。
肌襦袢と長襦袢の違い
肌襦袢と長襦袢は似た名前の衣類ですが、特徴や役割が異なります。
ここでは、肌襦袢と長襦袢の違いを解説します。
役割の違い
肌襦袢は肌着として用いられるもので、体から出る汗や皮脂が着物へ直接触れるのを防ぐために身につける和装用のインナーです。
袖丈も短く外から見えないつくりになっており、日常的に洗いやすい素材で作られている点も特徴です。
また、体に沿うように着用し、その上からタオルや補正パッドを使って体の凹凸を整える土台としての役割も担います。
特に腰まわりのくぼみを補うことで帯が安定しやすくなり、全体の着姿を美しく整えることが可能です。
一方、長襦袢は肌襦袢の上に着用する衣服で、着物を重ねたときに衿元を美しく見せるために着用します。
半衿を付けて衿元を整える役割もあり、着姿の印象を左右する要素のひとつです。
このように、肌襦袢は肌を守る下着、長襦袢は着物を美しく見せるための下地として位置づけられています。
両方を着用する理由
肌襦袢と長襦袢は、どちらか一方だけを身につけるものではなく、基本的には両方を重ねて着用します。
和装では、肌襦袢を最初に着て、その上に長襦袢、さらに着物を重ねるという順序が一般的です。
肌襦袢を省いてしまうと、長襦袢が直接肌に触れることになり、汗や皮脂による汚れが付着しやすくなります。
特に絹などの素材で仕立てられた長襦袢は頻繁に洗うことが難しいため、汚れを防ぐ意味でも肌襦袢を間に着ることが大切です。
2枚を重ねることで着物や長襦袢を清潔に保ちやすくなり、和装をより安心して楽しめるようになります。
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